吃音の人の就職事情とは

 吃音の人にとっての就職はコミュニケーションと気持ちのうえで非常に困難を極めます。入社するだけでも面接で吃るからアピールできず、運良く入社できても毎日毎日業務中は吃り倒すので報連相が全然できないし吃った恥ずかしさのダブルパンチでまるで茨の道です。

 そこで今回は私の場合はどうなのかということを、これから就職する人や就職中の人にむけてリアルに紹介していきます。

とある吃音の人の就職観 (私の就職事情)

 私はこれまで消去法で就職先を決めてきました。好きな仕事に就けてもかれこれ軽く10回以上は転職しています。社名や朝の号令、業務中のトークスクリプトなどどれもよく吃り精神的にまいったからです。

 もちろん上司に相談して私だけ言い方を変えるなんてことは当たり前に工夫してきましたが、それでも耐えきれませんでした。

 ただ話すだけでも体中がガタガタ震えて私のデスクだけまるで地震が起きたかのように揺れました。その結果、円形脱毛症になりましたが、そのときの辞職理由が会社都合になったことでまだ世の中の優しさを感じました。

妥協

 やりたい好きな仕事か、それともこんな自分でもできる仕事に就くかは常に葛藤してきました。就職活動すると後者はいつも薄給でした。しかし現在は多少景気も上向きになったおかげで後者で一番長く続いています。

自分の殻

 どうやら私の外面は良いようで、よく周りからはもっと良い就職先あるのに転職しないのかと聞かれます。吃音であることは伝えていますが、この居場所が私の働けるギリギリのラインだということは気づいていないらしいです。私がもっと吃音であることをアピール出来れば良いのかもしれませんが、いまだに自分の殻をやぶれていません。本当の私自身を伝えていくことは今後の課題にしたいです。

吃音改善のリスク

 吃音を治してから就職しようとすると現実的には時間がかかりすぎると思います。私は吃音を改善しながら生きてきましたが、結局いまだに完治しておらず、気づけば20代が終わり、30代になりました。今考えていることは、障害者手帳を取得してより良いところに転職するか、自営業を考えています。後者は好きなことを自分のペースで出来るかもしれません。

まとめ

 長年吃音と付き合ってきて分かってきたのですが、私にとって会社を辞めたいときは生命の危機を感じていたと思います。このまま働き続けると自分が壊れそうになる気がしました。それは仕事において体が勝手に震えたり、ハゲたことでハッキリしました。就職も大切ですが、まずは体が資本だと思うので、遠回りしても良いからいつか好きなことをやるために自分をいたわりながら人生を送っていきたいです。